慢性に経過する甲状腺の病気の「橋本病」は、90%以上は女性で30~60歳代に好発するとの報告があります。成人女性の25~30人に1人の割合でみられる、ごく一般的な疾患といえます。
 放置していてもまず心配はいりませんが、長期間経過しているうちに甲状腺機能低下症状(全身倦怠感・むくみ・しわがれ声・寒がり・便秘・脱毛など)が患者さんの20%くらいにみられることがあります。

「橋本病」の症状は

 「橋本病」は代表的な甲状腺の自己免疫疾患で、橋本甲状腺腫、慢性甲状腺炎などの名があり、他臓器の自己免疫疾患と合併することもよくあります。多くは甲状腺が全体に硬く腫れますが、痛みもなく、内科などを受診したとき「甲状腺が大きいね」と触診した医師に言われて気づくほどで、甲状腺機能が正常な限り、甲状腺腫による圧迫症状以外は無症状で経過すると言ってよいでしょう。逆に言えばかなりの頻度で見落としもあると思われます。
 高齢者の認知症が、「橋本病」から生じた甲状腺機能低下症によることも時々あります。
また甲状腺組織の破壊が急に起こり、甲状腺ホルモンが血中に放出されて甲状腺機能亢進症状がみられることもあり無痛性甲状腺炎と呼ばれます。

中年女性に多い「橋本病」(慢性甲状腺炎)

治療や療養に関してのアドバイス

 甲状腺ホルモンが不足している場合は甲状腺ホルモン剤による補充を。 他には、「橋本病」の方は海藻の過剰摂取を控えるのが好ましいとされています。最近の自然食ブームで根こんぶの汁を常飲される方がおられますが、これを摂り続けたり、海藻サラダを大量に食べたりする事により、甲状腺腫大、無痛性甲状腺炎、甲状腺機能低下を招きかねません。

 診断は、硬い甲状腺全体の腫れを確認するとともに、血液中の甲状腺抗体の測定や超音波検査を参考にします。「橋本病」は食欲不振・頭重感・めまい・息切れ・ふらつき・不眠・冷感・のぼせなど症状が多彩で、いわゆる自律神経失調症に似た症状がみられる場合もあるので注意する必要があります。中年女性に多くみられる病気のため、更年期の症状も伴い、「橋本病」が複雑になることもあります。

どこの科にかかったらよいか

まずはかかりつけの内科医に相談してください。
そこで、専門医を紹介してくれるでしょう。