兵庫県医師会の初動活動

兵庫県医師会の初動活動

1.震災当日(1月17日)

交通機関途絶等により、県医師会館へようやく職員(2名)が到着したのは午前9時30分であった。早速、会館の損害状況を点検した結果、建物内部では書庫等倒壊により書類が散逸していたが、幸い建物には損傷はみられなかった。この旨を瀬尾会長に連絡し、即時の対応につき指示を受けたが、電話等不通のため状況把握等が困難なこともあり大混乱のうちに終始した。

2.災害対策本部の設置

 

翌日(1月18目)は職員4名が出勤してきたが、事務局体制不備の状況のもと地震の規模からして被災地区にあっては被害は甚大なものであろうと判断し、「事態の速やかな掌握並びに迅速な救急医療体制の整備が必要である」として瀬尾会長を本部長とする『兵庫県医師会災害対策本部』を設置した。

兵庫県医師会災害対策本部の横成員

本部長瀬尾会長
副本部長石戸、橋本、加古三副会長
主務本部委員西村庶務担当常任理事
本部委員岡田、水野、前田、永井、瀧谷
各常任理事
田中、古橋、平林、横山、飯尾、大谷、
冨永、梶川、山本、白倉、武田、栗原、
岡本、若森、大隈、大橋 各理事
荒尾、正田、中山 各監事
幹事山下事務局長

3.災害対策本部会議の開催

本会理事会をもって災害対策本部会議とし、毎週1回開催し、被災状況の把握、緊急時における救援・救護活動及び今後の復旧・復興対策等について種々協議した。

4.災害対策本部の初動活動

震災直後から約1カ月の間県医師会は24時間体制をとって対策本部員と緊急時の対応を行った。また、県行政等とその都度緊密なる連携をはかり次の緊急時初動活動にあたった。

  1. 心配される本会役・職員並びに被災地区医療機関・医師会の被害状況について電話並びにFAXにより情報収集を行った。しかし、通信網の破壊等により連絡がとれない状況であり、この確認に以後数目を要した。
  2. マスコミ並びに住民からの昼夜を問わない受診可能な医療機関等の情報提供照会に対し、調査を行う等、できる限りの提供を行った。この受診可能医療機関調査についても通信不能の地区が多く、状況把握に以後数日を要した。
  3. 全国より医師・看護婦派遣並びに医師個人からボランティア申し出の多数入電を受け、兵庫県及び被災各市町災害対策本部へ仲介した。
  4. 医薬品等救援物資の申し出が全国医師会等より多数入電され、物資集積の一元化を図るべく兵庫県救援物資受入先である「兵庫県消防学校」に送付されるようその都度連絡をとった。
  5. 県下郡市(区)医師会に対し、医師、看護婦等及び医薬品・器材等応需状況について回答方を依頼した。
  6. 各避難所における診療体制の確保について被災地区医師会長に対し依頼した。また県知事の依頼により、県の設置する避難所救護センターの医療担当責任者に医師会長が就任するよう要請した。
  7. 医療機関の破壊等による入院患者の転院について近医連災害対策本部よりの通知に併せ本対策本部としての対応方につき被災地医師会長に通知した。
  8. 救急、検死活動等に関し、日本医師会並びに郡市医師会、更には兵庫県災害対策本部(兵庫県)等から、続々入電があり、その都度郡市(区)医師会を始め関係各団体に対し指示依頼等の連絡を行った。
  9. 震災に伴う被災者の保険診療並びに労災保険・公害診療の取扱いについて郡市(区)医師会を通じ会員に通知した。
  10. 瀬尾会長を始め本会役員が随時被災地区医療機関並びに避難所等を見舞い、激励した。

5.日本医師会「兵庫県南部地震災害対策本部」の設置

  • 1月18日、日本医師会においても村瀬日医会長を本部長とする災害対策本部が設置され、中央折衝、全国医師会に対する「救援医療チーム」の編成及び義援金の募集等々本会災害支援本部支援活動が展開された。
  • 1月20日、大阪市において開催された近医連常任委員会に村瀬会長が来阪。被災地区視察を強く希望されたが、交通網途絶等の現状から、己むを得ず中止願った。
  • 1月26日~27日の2日間に亘り、村瀬会長、石川常任理事、広岡課長・鈴木課長が来県、神戸市内並びに阪神間の被災地区視察を行うとともに、県知事、神戸、芦屋、西官各市長と面談し、救援・救護活動等当面する諸問題につき協議が行われた。
  • 2月25日、石川、本吉常任理事が芦屋市医師会を訪問、被災地区医師会長と、引き続き石川常任理事が神戸市医師会を訪問、神戸市並びに各区医師会代表と、救護所、ボランティア医師等の撤退について懇談を行った。
  • 2月26日、石川常住理事が前日に引き続き、北淡町を訪問し、同町長並びに幹部職員と懇談した。
  • この他にも日医役員多数の来県をみ、激励を愛けた。

6.近畿医師会連合対策本部の設置

1月20日、近医連常任委賞会の了承を得て植松大阪府医師会長を本部長とする近畿医師会連合災害対策本部が大阪府医師会館内に設置された。本会災害対策本部諸活動を強力に支援すべく、救援物資の受け入れ、医薬品の提供、患者の移送等の活動が実施された。

7.厚生省「現地災害対策本部」の設置

1月22日、国立神戸病院(神戸市須磨区)内に、厚生省により現地災害対策本部が設置され、ここを拠点として、県等行政並びに本会災害対策本部との緊密な連携を図り諸活動が展開された。