1.手足口病とは

口の中や手足などに水疱性の(水ぶくれをともなう)発疹が出る、ウイルスの感染によっておこる感染症です。病気の原因となるウイルスは、最近はコクサッキーウイルスA6、A16、A10やエンテロウイルス71などが多く、感染経路は、飛沫感染・接触感染・糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口の中に入って感染すること)が知られており、潜伏期間は3~5日です。

2.症状

名前の通り、 口腔内、手のひら、足の裏や足の甲などに2~3mmの水疱性の発疹が特徴的な症状です。発熱は約3分の1にみられ、発熱のみられないものの方が多くはなっています。しかし高熱が数日続くものもあり、また口腔内の水疱も、咽頭に水疱が集中するヘルパンギーナ様のものから頬の粘膜や舌に小さな水疱ができるものまでさまざまです。手足の皮疹も手のひらや足の裏だけでなく、肘や膝やお尻など様々な部位に出現します。
まれですが、髄膜炎・小脳失調症・脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることもあり注意が必要です。
近年の報告では、エンテロウイルス71による手足口病は中枢性神経系の合併症が多いことや、コクサッキーウイルスA6感染による手足口病については“とびひ”や“水痘”と見間違うほどの大きな水疱が出現し、手足口病の症状が消失して1カ月ほどたってから一時的に手足の爪が剥がれるなどの症状も報告されています。

3.治療

手足口病に特別な治療法はなく、対症療法となります。口の中が痛くて食事や水分が摂取できないようなら、喉越しの良いものを摂り水分摂取に心がけるよう注意しますが、脱水症状があれば輸液などの処置が必要なこともあります。また、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症が疑われる場合は、すぐに高次の医療機関の受診が必要となる頃もあります。

4.予防

一般的な感染対策は手洗いやうがいなどで、ウイルスは便などから比較的長い期間排泄されるため排泄物を適切に処理することが重要となります。一般的な風邪ウイルスによる感染症ですので、元気であれば集団生活も可能ですので、保育園や幼稚園などではしっかりと手洗いを奨励し、感染予防に努めることが必要です。

5.登園・登校について

手足口病の場合は、学校園側から「出席停止」を指示する対象になっていませんので、「病欠」扱いとなります。
「2018年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」では、登園(校)基準として「症状が回復した後」となっており医師の判断により登園可能となりますので、診療所を受診の上、発熱もなく食事摂取もできるようなら登園してください。証明書などは不要ですが、保護者の「登園届け」が必要なこともありますので、求められる場合は、医師にお申し出ください。

 

【関連情報】

 国立感染症研究所
 手足口病とは
 IASR 病原微生物検出情報 特集「手足口病 2002~2011年」

 大阪感染症情報センター
 医療関係者の方へ2011シーズンの手足口病の臨床像(臨床医からの情報)