この病気はセックスによって感染する「性感染症」で病原体はクラミジア・トラコマチスという微生物です。最近、特に10代、20代の若い男女の間で感染者が増えています。感染していてもほとんど症状が無いことが、この性感染症が広がる大きな原因です。
 この病気の恐い所は自覚症状に乏しいため、気付かないうちに病状が進んで行くことです。子宮の入り口に食い込んで巣をつくった病原体はやがて卵管を通ってお腹の中に入り、肝臓の周囲にまで炎症を起こすことがあります。知らず知らずのうちにお腹の中に広まった炎症は、突然腹痛を伴う急性腹膜炎を発症することすらあります。その頃にはすでに卵管が詰まり妊娠出来なくなってしまっていることもあり、将来妊娠を望む女性にとっては非常にやっかいな病気です。

原因は

 クラミジアの一種であるクラミジア・トラコマチスが、性交・オーラルセックスなどによって、尿路や性器に感染することで起きます。
症状は、感染後数週間で発症しますが、無症状の場合もあります。男性の場合は、尿道から透明な膿が出たり、排尿時に痛みを伴う場合もあります。女性の場合はおりものが増える事がありますが、一般に自覚症状に乏しいことが多いです。喉に感染すると喉が痛くなり咳が増えたりしますが、無症状の場合もあります。

恥ずかしがらずに症状がでるたびに病院に行って適切な治療を受けることが大切です。

治療や療養に関してのアドバイス

 クラミジア用の抗生剤を服薬します。パートナーも感染していることが多いですので、治療に際してはパートナーも同時に治療を受けることが必要です。新たにクラミジアに感染している相手とセックスをすると再感染しますので再び検査、治療が必要となります。いずれにしても定期的に検査を受けることが大切です。予防のひとつの方法としては常にコンドームを使用することをおすすめします。

  • 感染していても自覚症状に乏しいので、性交渉の経験のある方は、医療機関を受診して検査を受けられることを勧めます。
  • 治療せずに放置しておくと、クラミジアが体内深部に進行し、男性の場合は尿道経由で前立腺炎・精巣上体炎等になる事があります。
  • 女性の場合は子宮頸管炎・子宮内膜炎・卵管炎になり、進行すると骨盤腹膜炎になったり、肝周囲炎や卵巣炎を引き起こし、子宮外妊娠や不妊の原因となる事もあります。また絨毛膜羊膜炎をおこし流産や早産の原因ともなります。また産道感染により、新生児が結膜炎・肺炎を発症することがあります。

どこの科にかかったらよいか

男性の場合は泌尿器科・性病科、女性の場合は産婦人科・性病科を受診しましょう。咽頭感染の場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。