家に閉じこもったままで生活している子ども、若者をみると、「ひきこもりではないか」「こころの病気ではないか」と心配されるご家族の方も多いと思います。まずひきこもりとは「社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」と定義されています。内閣府が平成22年2月に実施した「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」ではほとんど自宅で生活している者が23.6万人、「ふだんは家にいるが,自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」準ひきこもりの者が46万人いるとされています。
平成19年に出されている「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、長期間ひきこもっているほとんどの方にメンタルヘルスの問題がみられ、本人・家族とも適切な支援が必要だとされています。その上で、ひきこもりを第1群「統合失調症、気分障害、不安障害など薬物療法の有効性が期待されるもの」第2群「発達障害によるひきこもりで本人の発達特性に応じたアプローチが必要なもの」第3群「パーソナリティ障害などによるひきこもりで精神療法的アプローチが必要なもの」と大別して、それぞれに適した対応が必要だと指摘しています。つまりひきこもりを長期間続けている原因、要因はさまざまに異なり、病態に応じた対応をするためにまず一人ひとりの特徴を的確につかんでいく必要があります。そのためには本人、家族だけで思い悩むのではなく、メンタルヘルスの専門家に相談することがよいと思います。
まずは地域の精神保健福祉センター、保健所の精神保健相談など自治体の精神保健機関、お近くの心療内科、精神科診療所などの医療機関に本人・家族がご相談していただくのが解決への第一歩だと思います。こうした機関にご相談頂くことで、ひきこもりを続けている一人ひとりを十分に診立ててどのようなアプローチが必要なのかを考えていくことができると思います。