先天鼻涙管閉塞は乳児の流涙(いつも目がウルウルしている)や眼脂(目ヤニ)の原因として重要な疾患です。報告によって幅がありますが、新生児の6~20%にみられると言われています。
涙は上まぶたの奥あたりにある涙腺という場所で主につくられ、起きている間中、少しずつ分泌されて目を潤しています。その大部分は、目頭にある涙点という小さな穴から吸収され、涙道という管を通って鼻に出ていく仕組みになっています。
先天鼻涙管閉塞では、涙道の鼻への出口の部分が膜状に塞がっていて、涙の流出が障害されています。そのため、目の表面に涙がたまったり眼脂が増えたりします。もちろん、流涙や眼脂をきたす疾患は先天鼻涙管閉塞以外にもいろいろありますので、眼科医による診断は不可欠です。

検査

涙点から少量の水を送る検査を行って、鼻からノドへ流れるか確認します。目の表面に色素をつけて、5分後に色素がどの程度残っているかをみる色素残留試験だけで診断を行う場合もあります。

治療

膜状に塞がっている部分を破ってあげることで治癒します。ブジーという金属性の細長い器具を涙点から挿入して破る方法が行われますが、涙道内視鏡という涙道内を見るカメラを用いる治療も行われています。
眼脂については、特別に多いときや結膜炎が起きたときだけ抗菌点眼をしてもらいますが、長期にわたって点眼を続けることはなるべく行いません。抗菌薬が効かない細菌を増やす菌交代現象を引き起こすリスクがあるからです。目頭の部分をマッサージする「涙嚢マッサージ」は次に述べる自然治癒を促すとして指導する場合があります。

治療時期

生後1年以内に90%前後が特別な治療をすることなく、自然治癒すると言われています。このため、1歳~1歳半まで経過観察を行うことが増えていますが、治癒しなかった例については、成長に伴って力が強くなり激しく抵抗されるため、全身麻酔をしないと治療が難しくなるという問題もあります。治療時期や治療方法については、主治医とよくご相談ください。