喘息(ぜんそく)って何?
喘息の人の気管支などの空気の通り道(気道)が、たとえて言えばいつもくすぶっている状態です(炎症)。そしていろんなきっかけ(発症因子とか増悪因子)によって火事が起こりやすくなっており(過敏になって)、火事になると気道が狭くなり(狭窄)、ぜーぜーしたり息苦しくなったりします(発作)。このような事を総じて気管支のアレルギー(ぜんそく)と言います。炎症を放っておくと、気道の表面(粘膜)に変化が起こり、気道が狭くなったまま元に戻らなくなってしまいます。(リモデリング)

アレルギー体質って何?

アレルギーの遺伝的な要素や環境の要因などが組み合わさって、アレルギーが発症したり(発症因子)、あるいはまた、悪化(増悪因子)しやすくなっています。このような状態をアレルギーの体質といいます。
アレルギーの原因は、アレルゲンと呼ばれ、ダニやカビなどのハウスダスト、スギやブタクサなどの花粉、動物のフケ、卵白など様々な種類があります。アレルゲンの中でも、肺に吸い込まれるアレルゲンを、吸入アレルゲンと呼びます。吸入アレルゲンは気道で炎症を起こしぜんそくの原因になります。気道は、口や鼻から気管を通って肺に達します。最近では、この空気のとおりみちを一つの臓器と考えて、鼻アレルギーも気管支のアレルギー(ぜんそく)も同じ病気と考える方が欧米では主流になってきています。(英語では、one airway, one diseaseと呼ばれます)

ぜんそくは、初期治療が大切

喘息は症状の軽いうちに治療すること(初期消火活動)することが重要です。そして消化活動をサポートする消防士の役割がかかりつけ医です。少し症状が良くなった患者さんのなかに、自分の判断で治療(消火活動)を中断した為に、火事(炎症)のコントロールが不十分になり、以前より大火事(重症)になるケースもあります。さらに重篤な状態になると、呼吸ができなくなり死に至る危険があるため、緊急入院が必要となる場合もあります。喘息死は重篤な人だけでなく、若い人や比較的軽症の場合でも起きることがあるため喘息を侮ることはできません。

ぜんそくの治療は?

気道の火事(炎症)と狭窄は、いつも(慢性的といいます)続いているので、発作や症状がないときでも、継続的に消火活動(治療)が必要です。火事への対処法で大切なことは、初期の消火活動のほかに「火の用心」ですが、喘息においても全く同じことが言えます。
喘息治療における「火の用心」とは、火事の原因、つまり炎症を起こす誘因(増悪因子)となるものをチェックし、十分気をつけることです。また乾布摩擦や冷水摩擦や複式呼吸の練習や運動療法としての水泳もいいでしょう。これは、患者さん自身に行っていただく必要があります。どのような注意が必要かはかかりつけ医にご相談ください。また環境を整えて喘息の危険因子に注意した生活を送ることも大切になります。
患者さんとかかりつけ医が協力して気道の炎症に上手に対処しましょう。

薬物治療としては、小児にも内服薬やステロイド吸入薬がよく使われます。特に、ステロイド吸入薬は炎症を抑える働きが強く、副作用は少ないので、軽症の喘息でも最初に使われる治療になることもあります。
おかしいと感じたら、早めにかかりつけの小児科専門医に相談してみてください。

ぜんそくの原因になるもの

    • 室内アレルゲン(ハウスダスト・ダニ・カビ・猫や犬のフケなど)
    • 屋外アレルゲン(花粉など)
    • 薬物(アスピリンなど)
    • 食物アレルゲン(卵・牛乳・そば・小麦・大豆など)
    • 大気汚染
    • 喫煙(他人からの受動喫煙を含む)
    • 呼吸器感染症(かぜ・インフルエンザなど)
    • 運動(運動誘発性喘息)
    • 気象(季節、気圧・温度変化など)
    • アルコール
    • 食品添加物など
    • 過労や心理的ストレスなど