県民の皆様、兵庫県医師会ホームページにようこそお越し下さいました。この度、兵庫県医師会会長に就任しました八田昌樹と申します。兵庫県医師会は令和4年に創立75周年を迎える歴史と伝統のある医師会で、医師会員数も全国で6番目の大きさです。日本医師会と連携し、兵庫県下の郡市区医師会と協力して県民の皆様に安心安全な医療を提供していくのが兵庫県医師会の使命であると考えています。

 この2年余りの間、100年に一度と言われるパンデミックに猛威を振るった新型コロナウイルス感染症に翻弄されました。当初は、ワクチンも治療薬もなく、隔離と感染予防と対症療法だけでした。その後、PCR検査、ワクチン接種を県行政とも協力して集団及び個々の医療機関で行い、重症者の入院、宿泊療養施設の利用、入院待機自宅療養者への往診等を行ってきました。医師会も保健所も県行政も初めての経験であり、よくわからない新興感染症との闘いのため、十分な医療提供体制とは言えませんでしたが、医療従事者及び保健所をはじめとする行政の方々の献身的な努力のおかげで流行の各波を何とか乗り切って来ることができました。もちろん、緊急事態宣言、蔓延防止重点措置における県民の皆様の日常生活の自粛というご協力も大切であったと思います

 この新型コロナウイルス感染症は目に見えない災害です。災害といえば、兵庫県はあの阪神・淡路大震災を経験しました。当時は被災地区の医師会が系統だった医療を提供することは不可能で、インフラも途絶し、医療機関は乏しい医療資源で限られた医療しか行うことができませんでした。この経験と反省から、日本医師会がJMATを立ち上げ、東日本大震災や熊本大地震、西日本豪雨での水害時には兵庫県医師会のJMAT兵庫がリーダーとなって災害治療を実践することができました。近い将来起こりうる南海トラフ大地震のような自然災害や新興感染症における健康危機に対して医療提供体制のさらなる深化を進めて有事に備えたいと考えています。

 さて、日本が超少子高齢化社会に突入して10年以上が経過しました。2022年の兵庫県の高齢化率は29.2%で全国平均の28.8%を上回っています。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上となる2025年問題はもう目の前に迫っています。更には、団塊のジュニア世代が65歳以上になり、65歳以上の高齢者が約4,000万人になる2040年問題もそれほど遠い話ではなくなってきました。今後は平均寿命よりも健康寿命の延伸が重要になってきます。「地域包括ケアシステム」は、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で生活できるよう包括的な支援・サービス提供体制の構築を地域ごとに目指しています。兵庫県医師会は、地域における医療・介護の関係機関が連携して県民に包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供できるように県行政と協力していきます。

 また、少子化に対しては周産期の医療提供体制の不足を解消し、小児在宅ケアなど小児の医療提供体制を充足し、安心して子育てができる環境作りを行います。

県民の皆様、今後ともご協力ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 兵庫県医師会
会長 八田 昌樹